黒坂彩乃の鉄道噺

鉄道のあれこれについて意見や説明、紹介などなど。

【信号】(鉄道初心者向け)鉄道信号について薄く解説

もう記事浮気なんて気にしないでください。鹿児島線の時刻表も朝ラッシュ下りは完成しました。パターンダイヤの割に分かりづらいダイヤになりましたが今よりは分かりやすいと思います。()

 

さて、今回は鉄道信号について、一般人に説明するレベルで解説したいと思います。

最初期の鉄道信号は人力でした。身振り手振りで停止を合図していたようです。まぁその頃なんて速度も遅いのでそれで間に合ったのですが。そして手信号が開発され、更に「追突しないためには先行列車との間隔を一定以上開ける必要がある」と言う今では当然の常識が発明されます。これによってほぼ等間隔でオフィサー(信号を出す人)を置くことになり、これが信号機の原点と言われています。しかしこれには致命的な欠点があり、オフィサーの元を通過した後に停止してしまうと後続列車には進行信号が伝えられるので容易に追突が発生するんですね。しかし当時は連絡手段も無いですから、これを回避する方法はありませんでした。

そして生じた問題はオフィサーが信号伝達以外の役割を兼ねており、またオフィサーごとに線路のどこに居るかも明確ではなかったことから、機関士がオフィサーを探すのに一苦労した事でした。これを解決したのが手動の信号機であり、先行列車通過後5分が経過したら信号機の赤い板を回転させて、列車から(板の面が)見えなければ進行、見えれば停止と言うとても単純かつ確実に機関士に信号を伝える事が出来るものでした。

また、赤いボールを上げ下げして(上がっていると進行)示すものもありました。今で言う「出発進行」に当たる喚呼が「high ball」であったそうで、これが飲料のハイボールの語源とも言われています。(めっちゃいい意味じゃん

それが様々な形やスタイルに変化し、遂に自動化を迎えました。

そして登場したのが「腕木式信号機」と呼ばれる物で、棒の上端に横棒を取り付け、それを上または下に回転する構造をしています。真横横が停止、上あるいは下に回転するほど制限が緩く(進行)なります。

この「制限」と言うのは速度制限と言う意味ですが、「速度制限」と「制限速度」、厳密には意味が違います。少し考えれば分かる話ですが、速度制限は「速度」の「制限」、制限速度は「制限」された「速度」です。つまり、制限70km/hとは制限速度の事であり、70km/hの制限が掛かると言うのは速度制限の事です。

腕木式信号機ではデッドマン装置(操作する人及び力が消えた時に最も安全にならなければいけない)という考え方が採用されており、動力が無い場合に重力で水平まで落ちて停止を現示出来る上回転が主流になりました。

この考え方は現在の鉄道でも至る所で利用されており、マスコンハンドルと呼ばれる車で言うペダルに当たる物も操作していないと自動的にノッチ(アクセル)が解除されたり、非常ブレーキがかかる仕組みになっています。また、信号においても「表示が不正確な場合はその表示から考えられる最も厳しい制限と見なさねばならない」と言う規則があり、安全を確保しています。

さて、腕木式の後には発光する現在のような信号機が登場したのですが、日本でよく使われている色灯式と呼ばれる何個もランプが付いている物と、ランプは1つだけでその前に色付きガラスを動かすサーチライト式、更に色を使わずに灯火の向きで判別する灯列式という物に大別されます。

(灯列式なんて見たことないって思ったそこのあなた、中継信号機や入換信号機などで今もバリバリ活躍中ですので、乳白色(?)だけの信号機を見たら灯列式では?と疑ってみることをオススメします)

 

信号機のハード面の区別はこれ以外にも何種類か有りますが、(説明が難しいですし)長くなるので切り上げます。次に信号機の扱い上の分類についてです。

代表的なのは出発信号機でしょうか。恐らく皆さんも1回くらいは「出発進行!」と言った事があるのでは無いでしょうか。アレです。

出発進行とは、出発(信号機が)進行(信号を現示している)と言う意味の喚呼でして、もし出発信号機が注意信号を現示していれば「出発注意」、警戒信号を現示していれば「出発警戒」となります。

他には同じような扱いを受ける信号として閉塞信号や場内信号があります。

鉄道の運行において、その区間に1列車しか入れない様にするシステム及びその区間を閉塞と呼びまして、その閉塞区間ごと(その手前の入口のとこ、内方と言うのはその信号が対応している閉塞区間の事で、外方と言うのはその信号機を見る側(つまり手前)の事です)に立っているのが閉塞信号です。

これは他の信号と違い、前の列車の通過によって連鎖的に信号が赤(停止)→(黄黄(警戒))→黄(注意)→(青黄(減速))→(青黄点滅(抑速))→青(進行)のように変化します。前方(内方とはまた違います)の信号より1段階緩い信号が自動で現示される他、停止現示でも一旦停止した後低速発進する事が出来ます。ちなみに喚呼では「第1閉塞進行」などと言います。

場内信号は駅への進入時に線路の開通や対向・接続列車が存在する場合の速度制限を行うもので、喚呼は「場内進行」或いは「北千住2番減速」のように番線区別の有無で変わります。

後は中継信号、遠方信号と言った「従属信号機」がありまして、視認性が悪い信号機の現示を変わりに現示する物があります。

 

さて、信号にはもう幾つか区分がありまして、代表的なものに「絶対信号機」と「許容信号機」があります。鉄道は元々駅長が駅構内の運転を管轄していまして(今もそういう事になっては居ますが)、列車は元々駅長からの許可により発車していました。(電車と列車の区別、採時に関して、駅と停留場の違いなど、詳しくは調べてみてください。ここで話すと長くなり過ぎますので。いずれ話したいと思います。) そして駅長は場内信号機に関しても管轄していたのですが、この信号機に関しては冒進(現示を無視して進むこと)すると事故が発生する可能性が高く、また故障しても手信号を直ぐに行える事から、手信号が無い限りは絶対に無視してはいけない信号と言う意味で絶対信号機と言われます。

一方で許容信号機とは閉塞信号などで故障の際に手信号の係を送る事が難しいため、一定時間止まっても停止現示から変化しない場合は故障であると見なして安全への対策(指令との交信を続けながらなど)を取りながら進む事が出来る信号機です。

 

現示については面白い記事が多いので、興味が湧いた方は読んでみてはいかがでしょうか。また、会社ごとに、更に路線ごとに何灯式(ランプが何個着いているか、1番見るのは4辺りでしょうか?)や表し方(同じ灯式の中にも2種類の信号機があるものもあります)、更に現示による制限速度も違います。

特にユニークな物に「高速進行」と言う160km/h制限の信号があります。(青青現示です)

高速進行が導入されている、及びされていた京成成田空港線(所謂スカイアクセス)と北越急行ほくほく線では、通常の進行信号は130km/h制限となっています。

また、京急線で導入された青黄点滅の抑速信号もユニークですね。こちらは105km/h制限を表します。

 

最後に1つエピソードを。

鉄道信号機は昔進行現示は白だった事をご存じですか?何故そうだったのかは知りませんが、赤ガラスが割れて停止現示を誤認する可能性がある事や、付近の白色光と誤認しやすい事により緑に変わったそうです。

そう言えば、日本では青現示と呼ばれる事が多いですが、アルファベットではG現示と書きます。これはGreenの頭文字であり、英語圏では「緑信号」と呼ばれるそうです。(そもそも青って呼ぶの日本だけらしいですよ)

 

それではまたいつかお会いしましょう。3000文字もダラダラと書いてしまいました。文才が欲しいです。おやすみなさい。